2012年3月20日火曜日

カジノ合法化に関する100の質問 : 地域再生

一歩一歩、確実に準備が進んでいると聞き及んでいる「仙台カジノ構想」ですが、一方で国内カジノ関係者の中で公然とこれを批判する者も出てき始めているようです。彼らの弁によれば「今から合法化が行われてカジノが出来たとしても、開業するまでに5年はかかる。仙台カジノは震災復興に寄与しない」だそうです。

何を企んでいるのか、もしくは自分の手が届かないところでカジノ論議が活発に行われるのが単純に気に入らないのか、一部関係者がそういう理論を打ち立てて業界内のコンセンサスにしようと派手に吹聴して廻っているようです。私としては「非常に不謹慎かつ、不見識な人達だな~」としか思いません。しかも、その目論見は今のところ残念ながら大外れでIR議連も復興モードに完全にシフトしている訳で� ��が、一応、以下にそういった方々のキャンペーンに対する私なりの反論を纏めておきます。

1)なぜ開業が5年先だと復興に資さないのか?
最初に思うのが、彼らは今回の震災復興のタイムフレームをどのように捉えているのだろうか?という点。三陸全域の都市機能が壊滅した今回の被災からの復興には10年、15年の期間が必要だと言われています。例えば、当の被災地である宮城県自身が全体のタイムフレームを、復旧期(3年),再生期(4年),発展期(3年)に区分しながら10年がかりの復興計画を描いているわけです。

【参照】宮城県震災復興計画


探査の時代が歴史を変えた方法

上記の震災復興計画の中には、当然観光産業の再建も含まれており、これに関しては当然10年がかりの長期の計画として描かれいます。そのようなタイムフレームの中で5年後開業を見据えた上で現地の人たちが考えているカジノ構想が「役に立たない」などと嘲笑される理由が、私には判りません。

2) 開業が5年先だからといって、経済波及が5年後から始まるわけではない
カジノというのは大型の土木開発事業です。開業が5年後であったとしても、その開発事業は認可が下りた時点から始まるワケで経済波及は開業以前から発生します。マカオやシンガポールなど海外の事例に基づけば、カジノの導入が決定した時点から周辺の不動産価格が上昇し始め、それに対する投資が生まれ、まずは不動産取引業あたりから経済波及が始まります。そして、土木系の工事が始まれば建設業種にその波及が移る。

また、工事が始まれば地域に土木関係者が集まり始めますから、そういった方々を対象とした小売業や飲食業、娯楽業などへ。そして開業が近づいてくれば、カジノに物品を納入する納品業者。人材を手配するエージェントなど徐々にその影響が広がってゆくわけです。

同時に、カジノが開業す� ��事となれば沢山の数の労働者がそこで働くことになります。必然的に周囲に宅地開発をする必要が出てきますし、宅地が形成されればそこには様々な都市機能(病院、学校、公共交通など)が必要となるでしょう。カジノの経済波及効果というものは、開業後の観光需要からだけではなく、その認可が下りた時点から徐々に様々な産業に向けて広がってゆくものなのです。


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3)「復興財源に資さない」などという不見識
震災直後に発表させて頂いた提言書をお読み頂ければ判るとおり、私自身はカジノで上がった税収は今回の震災復興の原資として利用されるべきだという考え方です(以前より在る年金基金に繰り入れる案などよりも、よほど意義高い)。これに対して、少し前に行われたカジノ系の某イベントにおいて私の目の前で「カジノが開業したとしても税金が入るのは5年後から。カジノ税は復興原資にはならない。」などと公然と言い放った業界識者とされる方もおりました。残念ながらその場はディスカッションの場ではなかったので論議のしようが無かったのですが、これまた「不見識な人だな~」、もしくは「そんな事も判らない人ではないハズなのに、何を意図して強弁しているのだろうか?」としか思いませんでした。

皆様も� ��存知の通り、民主、自民、公明の3党は、今回の震災の復興原資としを10兆円規模の公債発行で緊急補填をすることを合意しているワケです。

【参照】復興債、総額12.5兆円に 年金財源流用分を補てん

公債というのは必要となる公共事業の支払いを、単年度ではなく複数年度に平準化するための公的仕組みですから、将来的に発生するカジノ税をこの償却財源として指定してしまえば問題ないワケです。「日本の長期国債は、通常10年の設定である。当初5年、入ってこない財源はどうするのか?」などという反論も聞こえてきそうですが、カジノ税が発生するまでは普通に借り換え(繰越)をすれば良いのではないですか?


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我が国の国債償還のルールでは、すでに建設国債に関しては60年まで借り換えをしても良いというルール(60年召還ルール)となっています。これは「将来世代にわたって利用される公共施設の投資を、現役世代に全額負担させるのは世代間の公平性を欠く」という理由によって決められた制度です。同じレトリックで言えば、100年に一度と言われている今回の震災復興のために、公債の借り換えをする事がNGであるという理由はありません。また、将来的に入ってくる新たな財源を前提としての公債発行&借り換えですから、政治倫理的にもそれほど非難されるようなものでもありません。(いわゆる将来世代に単純にツケを廻すというものとは異なる)

現在、民主も自� �も財政再建派(増税派)の方々が主流になっているので復興債は期間を限定した増税によって賄うなどという事になっていますが、個人的には「100年に一度」の大地震にたまたま遭遇してしまった我々世代が、その原資を短期で返済する必要はあるのかなぁなどとも思います。地震というのは長い世代にかけて溜まってきたプレートの歪みが、どこかの世代で一気に爆発して起こるものです。世代間の公平性という視点では、たまたまその煽りを受けた特定世代の人間だけが集中的にその被害補填を行う事は非常に不公平ですね。


そして、その解決策を私の専門性に結びつけるのならば、まずはカジノ税を利用して今回の復興国債を返還する。その後は、毎年上がる税収を「震災対策準備金」として積み立てましょうって事です。偶発的に発生するその他の災害と違い、地震に関しては必ずどこかの世代で起こる災害なのですから、その為の積み立てを世代間を跨いで行ってゆく必要があるでしょう。その原資としてのカジノ税提案なワケです。

ギャンブルというのは、万に一つの幸運(ラッキー)を信じて楽しむものです。そうやって集められた収益の一部が、逆に万に一つの不幸を拾ってしまった被災者のために使って頂けるのならば、業界人としてこれほど誇らしいことはありません。詳しくは私が震災直後に 書いた提言書をお読みください。

【参照】カジノ合法化に向けたディスカッションペーパー13: 災害復興とカジノ

ということで、以上が「仙台カジノ構想」を公然と批判し始めているカジノ業界内の人達への私なりの回答です。ちなみに念のために書いておきますが、私は必ずしも被災地におけるカジノ導入運動「だけ」を応援しているわけではありません。私の作成した提言書では、「被災地にカジノを作る」案から、「全国のカジノによって生み出された原資によって被災地を支援する」案まで、3つのシナリオを提案しています。それぞれ求められる効果は異なりますので、その点は熟考が必要だと思います。



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